一口に「日本酒」と言っても、その種類はさまざまです。
細かく言えば酒蔵の数、もっと言えばお酒の数だけ種類は存在します。
その数は、なんと5万種類といわれています。
そんなにたくさんあったら選べないですよ
たしかに、すべての種類を把握するのはとてつもなく大変です。
しかし、大分類の8種類だけ押さえておけば、「そのお酒がどんなものか」おおよその傾向がわかります。
8種類ならおぼえられそう!
今回は、その8種類についてご説明していきます。
日本酒の分類
日本酒とは
お米を発酵させて造られたお酒を「日本酒」と言います。
法律の上では「米を原料として使用していること」と「濾(こ)してある」ということ、なおかつ「アルコール度数が22度未満のもの」が日本酒の条件。
これを外れると日本酒と分類されず、リキュールや雑酒扱いになります。
その条件をクリアしている日本酒は、「普通酒」と「特定名称酒」に分類されます。
普通酒と特定名称酒
「日本酒は米が原料」と先ほど書きましたが、米・米麹(米に麹菌を繁殖させたもの)・水以外を混ぜて作られているものもたくさんあります。
副原料として認められている原料を50%まで加えることは法律上認められており、製品の50%までの量で添加物を加えられているものは「普通酒」。
そして醸造アルコールのみを10%未満添加しているもののうち、農産物検査法で3等以上の玄米を精米して使用し、かつ麹米の使用割合が15%以上のものについては
「特定名称酒」
を名乗ることができます。
特定名称酒とは
ラベルに「純米酒」「吟醸酒」などと書いているのを見たことがあると思います。
それがいわゆる「特定名称」と言われるもの。
現在8種類あります。
それを知っておけばいいということですね!
その「特定名称」について、これからくわしくご説明します。
まずは、原材料による分け方です。
原料が米・米麹・水だけのものを「純米酒」、醸造アルコールが10%未満加わっているものを「本醸造酒」「吟醸酒」と言います。
日本酒に使用される玄米は一般的には精米して使用され、その精米歩合によって特定名称が決められます。
精米歩合が60%以下(玄米に対して重量が60%になるように精米した米)で作られたものを「吟醸酒」
50%以下まで削ったものを「大吟醸酒」。
純米酒で精米歩合が60%以下なら「純米吟醸」
純米酒で50%以下なら「純米大吟醸」となり、
「本醸造酒」は精米歩合は70%以下、
「純米酒」そのものに関しては精米の規定はありません。
また、「吟醸酒」を名乗るには、低温で醸造する「吟醸造り」で作られなければならない、という規定があります。
多くの日本酒は、精米歩合は75%以下のものを使用。
ちなみに、食用米の精米歩合は92%程度ですので、日本酒はかなり削ったお米から作られているということがわかります。
上記以外で、「精米歩合60%以下または特別な醸造方法を用いて作られた純米酒」は「特別純米酒」、
「精米歩合70%以下または特別な醸造方法を用いて作られた本醸造酒」は「特別本醸造酒」と名乗ることができます。
では、「何をもって特別とするのか」なのですが、これについては明確な規定はありません。
ただ、「特別なのはどういったところなのか」をラベルに記載しなければなりません。
例えば
「特定名称米100%使用」
「無農薬米100%使用」
「木槽(きふね)しぼり」
「長期低温発酵」
などなど。
これらが「特別な醸造方法」と認められれば「特別純米酒」「特別本醸造酒」を名乗ることができます。
最後に、香味などの要件も特定名称酒の条件に入ってきます。
作り方は条件通りでも、香りや色彩が規定に合わないならば特定名称を名乗ることができません。
上記に記載したことをまとめてみました。
系統 | 名称 | 原料 | 精米歩合 | 麹米割合 | 香味等要件 |
---|---|---|---|---|---|
吟醸酒系 | 吟醸酒 | 米・米麹・ 醸造アルコール | 60%以下 | 15%以上 | 吟醸造り、固有の香味、 色択が良好 |
大吟醸酒 | 米・米麹・ 醸造アルコール | 50%以下 | 15%以上 | 吟醸造り、固有の香味、 色択が特に良好 | |
本醸造系 | 本醸造酒 | 米・米麹・ 醸造アルコール | 70%以下 | 15%以上 | 香味、色択が良好 |
特別本醸造酒 | 米・米麹・ 醸造アルコール | 70%以下または 特別な醸造方法 | 15%以上 | 香味、色択が特に良好 | |
純米酒系 | 純米酒 | 米・米麹 | 規定なし | 15%以上 | 香味、色択が良好 |
特別純米酒 | 米・米麹 | 60%以下または 特別な醸造方法 | 15%以上 | 香味、色択が特に良好 | |
純米吟醸酒 | 米・米麹 | 60%以下 | 15%以上 | 吟醸造り、固有の香味、 色択が良好 | |
純米大吟醸酒 | 米・米麹 | 50%以下 | 15%以上 | 吟醸造り、固有の香味、 色択が特に良好 |
ちなみに、規定をクリアしていればその下のクラスの名称も使えます。
「純米大吟醸酒」は「純米吟醸酒」や「純米酒」と名乗ることは問題ありません。
非常にざっくりになりますが、
・吟醸酒・大吟醸酒はフルーティで華やか
・本醸造酒は軽快ですっきり
・純米酒は濃厚でまったり
上記のような傾向。
もちろんすべてがこれに当てはまるわけではありませんが、ほぼ外すことはありません。
「生酒」
「生貯蔵酒」
「生一本」
「樽酒」
「あらばしり」
「にごり酒」
などなどなど…書き出すときりがありません。
また、原料米の違いでも味わいが変化します。
使っている水でも変わります。
そのあたりは、また別途まとめたいと思います。
特定名称を知っているだけで選び方が変わります
「特定名称酒」8種類について説明してきました。
この8種類を知っているだけで、日本酒の世界がものすごく広がると思います。
日本酒を楽しむきっかけに、ぜひ覚えておいてください。