3月も下旬に入り、世の中はすっかり春めいてまいりました。
これだけ気候が良くなれば、外で桜でも見ながら一杯…と行きたいところです。
(コロナが収束すれば、ですが…)
もちろんビールやチューハイも良いのですが、手軽に飲める日本酒なんかもまた雰囲気です。
そこで今回はこれを取り上げてみました。
大関 上撰ワンカップ
「ワンカップ大関」です。
今でこそカップに入った日本酒は当たり前に販売されていますが、「ワンカップ大関」の存在がなければ日本にカップ酒は存在していなかったかもしれません。
歴史を紐解く
「ワンカップ大関」が誕生する前は、お酒と言えば一升瓶。
飲食店でも徳利に移し替えられて提供されていました。
そこで当時の社長が疑問に思ったのが、
「徳利に移されたらどこのお酒かわからない」
という事でした。
そこで考えられたのが、「コップに商品名を入れてそのまま販売する」ということ。
こういったコンセプトのもと、1964年に発売されたのが「ワンカップ大関」でした。
当時は「コップ酒はおじさんが飲むもの」というネガティブなイメージでしたが、それを逆手に取り、若者をターゲットとした商品として発売されました。
青地に白で
One CUP OZEKI
と書かれたラベルは当時ではとても斬新。
このデザインは今でも変わらず使われており、完成度の高さをうかがわせられます。
ただ、最初はその斬新なコンセプトゆえ販売に苦労したようです。
そこで、
「長距離列車での需要を見込んでキオスクで販売する」
「当時人気だったタバコのパッケージに広告を印刷する」
「当時まだあまり普及していなかった自動販売機で販売する」
など新しい手を次々と打ち出しました。
その甲斐あって販売数を順調に伸ばし、新発売当初は年間69万本の販売数であったものが1979年には1億本を超えるほどの急成長。
「ワンカップ大関」の認知度は爆発的に高まり、市場を独占するほどの売れ筋商品となりました。
当初は紙ラベルではなくカップに直接印刷されていたものを使用していたのですが、オイルショックの影響で紙ラベルに変更せざるを得なくなりました。
でも転んでもただでは起きない大関さん。
透明瓶なのでラベルの裏が見えるということを生かし、ラベルの裏に写真を印刷することを思いつきます。
これがまた好評を得て、そのアイデアは現在まで継続されています。
飲んでみます
さて、飲んでみることに致します。
よく見るおなじみの瓶です。
原材料表示。
記載はないですが日本酒度は0、酸度は1.4です。
開けてみたところです。
蓋は開けやすく、カップのふちは丸みを帯びていて口当たりがよいです。
若干黄みががったきれいな色をしています。
醸造アルコールのにおいが立ちますが米由来の香りもします。
普通の日本酒の香りとでも言いましょうか。
味わいは甘味酸味が調和してスッキリ。
アルコール由来のボリュームを感じます。
のみごたえのある中甘口くらいで、万人に受ける味わい。
こういうところはやはり上手にできています。
今回は「花見酒」をイメージしたので肴はこちらです。
焼きそばとあたりめ。
あたりめにはさすがに合わないわけがないです。
焼きそばは甘めのソースだったのが良かったのかこちらも良い相性。
お酒が進みます。
日本酒業界のイノベーター
販売当初は斬新と言われていたのに、今では当たり前のように売られている「ワンカップ大関」。
革新的なことをを当たり前にするには、並大抵の努力では不可能だったでしょう。
これからもこの「当たり前に売られている」商品をずっと作り続けてほしいと思っています。