お酒は、嗜好品(しこうひん)です。
同じお酒を飲んでいても、人によって感じ方が全く違ったり、日によってまずく感じたりもします。
そこで、「まずい」お酒というのはなぜ「まずい」と感じるのか?
を考えてみたところ、そこには5種類の理由が存在しました。
それをこれから一つずつ説明していきます。
お酒がまずく感じる5つの原因
1.嗜好に合わない
最も多いのはこれです。
合わないものは合わない。
これは曲げられない事実。
好みは人それぞれ、くつがえすのは難しいでしょう。
話が少しずれますが、
「自分の好みを人に押し付けてくる」人について。
「なんでそんなまずい酒飲んでるの?」
「そんなまずい酒よりこっちの酒の方が絶対おいしいから!」
と、人が機嫌よくたしなんでいるものを全否定してくるお方が、結構いらっしゃいます。
そういう人と飲みに行くことも、お酒がまずくなる原因の一つになるのは間違いありません。
好きなものは好き。
合わないものは合わない。
お酒も人間も。
ここは無理に自分の考えを曲げることはないでしょう。
2.体調が悪い
私は、ひどい花粉症です。
2月末~5月初旬までは、においに関して非常に鈍感で片頭痛もあります。
この時期は飲食物すべてにおいて、おいしさが体感で2割ほど減っている気がします。
体調が良くないときに飲んだり食べたりしたものを、あらためて体調が良いときにためしてみたら、
「ん?こんなにおいしかったっけ?」
ということが、ままあります。
また、経験上、体調が悪いときにお酒を飲むと悪酔いすることが多いようにも思います。
おいしく感じない上に悪酔いするとなると、そのときに飲んだお酒の印象は良くなるわけがありません。
体調がすぐれないときは、お酒は控えるにこしたことはありませんね。
3.食べ物とまったく合わない
飲み物と食べ物の相性が良い組み合わせを「マリアージュ」と言います。
それぞれの良さを引き出して、非常においしくいただける組み合わせ。
その一方で、それぞれの良さを殺しあう最悪な組み合わせというのもまた存在します。
代表的なのが、「赤ワイン」と「数の子」。
別々に飲んだり食べたりすればおいしいものでも、口の中で合わさると…これがまたとんでもありません。
これほどまで絶望的に合わないものが世の中にあるのか、と思い知らされます。
例えるなら「生ごみ」のような味わい(生ごみを食べたことはないですが)。
えげつないです。
興味のある方は一度試してみるのも良いかとは思います。
ですが、わざわざおいしいものをまずくしてしまうことはないのでは…。
経験として知っておくという意味ではアリかも。
「赤ワインとかずのこ」に限らず、知らずしらずのうちに相性の悪い組み合わせになっていることがあるかもしれません。
そのトラウマから「あの酒はまずかった」と心に刻み込まれているのでしょう。
4.品質が著しく劣化している
ワインや日本酒、ビールなどの醸造酒をすぐに飲まないで寝かせることを「熟成させる」と言います。
しかし、何でもかんでも寝かせれば良いというものではありません。
寝かせると、ただ劣化が進んでいくだけのものがあります。
テーブルワインや大手メーカーの生ビールなどがその例。
また、熟成に向いているものでも、条件が合わなければおいしく熟成せずに劣化してしまいます。
よくありがちなのが、お酢みたいになったり変な色やにおいがしたりしているもの。
温度管理が出来ていない、直接日光の当たるところに長期間置いてある、これらの理由で急激に劣化が進んでまずくなります。
時には本能的に身の危険を感じてしまうほどに。
少しの劣化なら料理に使うこともできます。
しかしながら、身の危険を感じるくらいにまずくなってしまったら、どう考えても身体にも良くありません。
もったいないですが捨ててしまいましょう。
5.そもそもおいしく作ろうとしているのか疑問
人に提供するものはおいしく作ろう、と思うのが普通の考え方。
その考え方を上回る「他の考え方」が最前面にしゃしゃり出ちゃっている商品が存在します。
多いのが「健康」や「滋養強壮」を最重点に置いているもの。
マムシ酒やサソリ酒やトカゲ酒なんて、
「これが最高においしいからみんなに広めたい!」
といった想いを持って作っている人は、皆無と言って良いでしょう。
絶対に「おいしい」という部分ではなく「効能」を追求しているはずです。
たとえおいしくないものができたとしても、それはそれ。
効能さえあればすべて良し、たまたまおいしかったらラッキー!という感じ。
あとは「珍しさ」を売りにしているもの。
滋養強壮のお酒も一部当てはまりますが、激辛(辛口のお酒ではなく、唐辛子などのの辛さ)とか激すっぱいとか激ニガいとか。
それらは99.9%の人がおいしいと思わないように作られていたりしますが、珍しさにひかれて買われる方も一定数いらっしゃいます。
で、飲んでみたら「まずい」ってそらそうやろ!
まずくても問題なし、ということが公認されてしまう特別な例でしょう。
結局たどりつくのは
ここまで、お酒がまずく感じる原因を五つ説明しました。
これらを避ければいつでもおいしいお酒が飲める、と言っても過言ではありません。
しかしながら、最後に身もふたもない事をいいたいと思います。
「おいしい」「まずい」なんて、人それぞれです。
「サソリ酒」が世界で一番うまい!と思っている人がいてもおかしくありません。
結局、私が一番大切だと思うのは、その場のシチュエーションです。
良いシチュエーションだとおいしいものはよりおいしく、そうでないものもそれなりになるでしょう。
またその逆もしかりで、嫌なシチュエーションだとおいしいものもまずくなります。
心身健康な状態で、気の置けない人と共にお酒はたしなみたいものですね。
今晩はうちの山の神様(妻)と晩酌でもしようかな。