日本でも「クラフトビール」といわれるビールが増えてきました。
小さな醸造所でつくられるものが多いですが、最近では大手メーカーでも手がけられています。
それぞれに特色があって、とても個性的。
見ているだけでもワクワクしてきます。
そして、その多くは「エール」というビール。
「エール」とは、いったいどんなビールなのでしょうか。
エールビール
「エール」とは
そもそも、「エール」ビールとは一体何なんでしょうか?
「エール」というのは、「上面発酵酵母」を使用してつくられたビールの総称になります。
世界各国でつくられ、特にイギリスで発展していきました。
「エール」に対して「下面発酵酵母」を使用したものは「ラガー」。
これ以外に、「野生酵母」を使用したビールもあります。
これらの違いについては、「酵母がないとビールはできません!」という記事に書いてありますので、よければご参照ください。
「エール」の種類
「エール」「ラガー」「野生酵母」それぞれのビールは、世界各国でつくられます。
このビールの種類や特徴をあらわしているのが、「ビアスタイル」。
「ビアスタイル」は、なんと140種類以上あるといわれています。
さすがに全部は無理なので、「エール」の中でも代表的なものを紹介したいと思います。
イギリスを代表する伝統的なエールビールが、「ペールエール」。
今では世界各国でつくられている、エールを代表するビアスタイルになります。
少し濃いめの琥珀色で、ホップの苦みや麦芽のしっかりしたコク、フルーティな風味を持つのが特徴です。
とても飲みやすいビールですので、エール初体験にはこのビールを選ぶのが良いかも。
ちなみに、「ペール」というのは「薄い」という意味を持っています。
これよりも濃い色のエールビールは「アンバーエール」「ダークエール」などと、色の濃さで区別されています。
18世紀はじめに、ロンドンでつくられるようになったビール。
18世紀のロンドンのパブでは、ペールエールやアンバーエールを店で何種類かブレンドして飲むのが流行しました。
でも、店でブレンドするのが面倒になってきたため、あらかじめブレンドされたものがつくられて販売されるように。
それが「ポーター」ができるきっかけとなりました。
色は濃く、チョコレートのような苦みや香ばしさを持っており、非常に繊細な味わいです。
「ギネス」に代表される黒ビール。
「ポーター」が海を渡り、アイルランドで独自に進化したビールが「スタウト」になります。
「ポーター」も濃い色ですが、それよりも真っ黒でコーヒーのような芳醇で深い味わい。
でも、飲んでみると意外とすっきりしています。
クラフトビール・ブームの火付け役となったビール。
「ペールエール」の中のひとつですが、ビアスタイルはちがうものとして分けています。
最大の違いは、「IPA」には「ホップ」が大量に入っている、ということ。
その昔、イギリスから植民地であるインドまでビールを運ぶために「ホップ」を大量に入れて腐らないようにした、というのがはじまり。
それが、今では世界中でとても愛されるビールになりました。
クラフトビールの中で一番飲まれているビールがこの「IPA」だ、といっても過言ではないほど。
ホップの風味と爽やかさ、強い苦みとコクがクセになる味わいです。
ドイツでつくられる伝統的なエールが、この「ヴァイツェン」。
「ヴァイスビア」と呼ぶ地方もあります。
その特徴は、「小麦麦芽」を使っていること。
色はうすくて黄金色。
バナナやバニラのような甘い香りを持ち、苦みは弱く柔らかい味わいです。
酵母が残っていてにごりのあるものは、「ヘーフェ・ヴァイツェン」と呼ばれています。
ベルギーを代表するエールが「ホワイトエール」になります。
こちらは小麦麦芽ではなく、発芽させていない「小麦」を使います。
また、ハーブやかんきつ類、スパイスなどで味付けしたりと、他のビールとは一線を画しています。
名前の通り色は薄く、フルーティでちょっとスパイシーな風味。
独特ではありますが、たいへん飲みやすいビールです。
ほかにもまだまだありますが
代表的なものを6つだけ取りあげましたが、ほかにもまだまだ魅力的な「エール」はたくさんあります。
日本でもいろいろつくられていますので、ビアスタイルで探してお気に入りを見つける、というのも楽しいと思います。
「ラガー」についても、「「ラガー」ビールにもいろいろ種類があるんです」という記事でいくつか取り上げていますので、参考にしてみてくださいね。